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東京地方裁判所 平成10年(ワ)21013号 判決

原告 株式会社X

右代表者代表取締役 A

右訴訟代理人弁護士 関根志世

同 田中紘三

同 田中みどり

同 田中みちよ

被告 株式会社東芝

右代表者代表取締役 西室泰三

右訴訟代理人弁護士 今井和男

<外二〇名>

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

被告は、原告に対し、五五二万四七〇〇円及び内金三五二万四七〇〇円に対する平成一〇年三月一三日から支払済みまで年六分の割合による金員を、内金二〇〇万円に対する平成一〇年一〇月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、原告が、被告との間で広告掲載及び出版物販売契約を締結し、右契約に基づいて広告を掲載し、書籍を販売したと主張し、右契約に基づき広告掲載代金及び書籍代金の未払金合計三五二万四七〇〇円及びこれに対する弁済期後である平成一〇年三月一三日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、被告が本訴において陳述した答弁書の記載が原告の社会的信用を毀損したと主張し、不法行為に基づき、二〇〇万円及びこれに対する不法行為の日(答弁書陳述日)である平成一〇年一〇月一九日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を請求する事案である。

一  争いのない事実

1  原告は、新聞の発行等を目的とする株式会社であり、「X」等の新聞や「韓国会社情報」等の書籍を発行している。

2  広告予算申請書の作成について

被告は、平成九年四月一五日、原告から事前に送付を受けていた「広告予算申請書」に金額等を書き込んだ書面(甲二。以下「本件書面」という。)を原告に交付した(なお、右書面の書込み及び交付により原告と被告との間で広告掲載及び出版物販売契約が成立したかどうかは本訴の争点である)。

3  広告掲載及び出版物送付について

原告は、左記のとおり、原告の出版物に被告の広告を掲載してその掲載紙をその都度被告に送付し、また、被告に対して書籍を送付した。

(一) 「X」(週刊新聞)に五段組、二分の一のスペースで、その平成九年一〇月一〇日号、同年一〇月三一日号、同年一一月一四日号、同年一二月五日号、平成一〇年二月二〇日号及び同年二月二七日号に被告の広告を掲載した。

(二) 「タリ」(季刊新聞)に五段組、二分の一のスペ-スで、その平成九年一二月一一日号及び平成一〇年三月一二日号に被告の広告を掲載した。

(三) 原告発行の書籍「韓国会社情報」下巻一冊を被告に送付した。

4  金員の不払について

被告は原告に対し、右広告代金及び書籍代金(消費税込み)の一部のみを支払っただけであり、三五二万四七〇〇円の支払をしない。

二  争点

1  広告掲載及び出版物販売契約の成否等について

(原告の主張)

(一) 本件契約の成立及び履行について

原告と被告は、平成九年四月一五日、同年四月から平成一〇年三月までの間、左記のとおり、原告が原告発行の出版物に被告の広告を有料掲載し、原告発行の出版物を被告に販売する旨の契約(以下「本件契約」という。)を締結した。

(1)  広告掲載

<1> 「X」平常号に五段組、二分の一のスペースで掲載一回につき掲載料四五万円(消費税込みで一回分四七万二五〇〇円)として、被告指定の広告を年間一二回掲載する。

<2> 「X」大韓民国五〇周年特集号(平成九年五月発行予定)に五段組、二分の一のスペースで掲載料四五万円(消費税込みで四七万二五〇〇円)として、被告指定の広告を一回掲載する。

<3> 「タリ」紙(平成九年六月、九月、一二月、平成一〇年三月発行予定)に五段組、二分の一のスペースで掲載一回につき掲載料三二万五〇〇〇円(消費税込みで一回分三四万一二五〇円)として、被告指定の広告を四回掲載する。

<4> 「東洋会社年鑑」(平成一〇年二月発行予定)本文に一頁広告で、掲載料二五万円(消費税込みで二六万二五〇〇円)として、被告指定の広告を一回掲載する。

(2)  出版物販売

書籍「韓国会社情報」上下巻各一冊を合計一万四四〇〇円(一冊七二〇〇円)で販売する。

原告は、本件契約に基づき、原告の出版物に被告から与えられた版下及び原稿を使用して被告の広告を掲載し、出版物を送付した。但し、「東洋会社年鑑」分(前記(1) <4>)については、被告から代金支払を受けられるか否かが不明であったため、被告指定の広告を掲載しなかった。

そして、原告は、被告に対し、原告が本件契約を履行したことによる代金の支払を請求し、その都度請求代金の支払を受けていたが、被告は、原告が請求した代金三五二万四七〇〇円の支払を拒否している。

(二) 本件書面について

本件書面は、本件契約の成立を証するものである。被告は、本件書面が本件契約の成立を証するものではない旨主張するが、原告は、昭和三五年以降毎年、被告との契約により原告出版物に被告指定の広告を掲載し、被告からその代金の支払を受ける関係にあったものであるところ、昭和六三年より、その契約の締結交渉に当たり本件書面のような書式を使用するようになったものである。原告は、過去年度の例にならい、平成九年三月初旬、被告に対し、同年四月からの被告の翌事業年度の広告予算に基づく広告掲載等の契約取得のため、被告からの指示に従って当該年度内の広告掲載及び出版物販売の計画を立てた上、被告の担当部長宛に「広告予算申請書」を送付し、それに基づく被告との契約交渉を同年四月一五日に行い、同日本件書面記載のとおり本件契約が成立したものである。

(三) 被告は、本件契約を被告の総務部が担当していることなどから、本件契約は通常の広告掲載契約と異なる旨主張するが、原告は、昭和三五年ころから、被告の海外事業部及び広告部(電通経由)が担当する広告の掲載をしてきたところ、昭和六二年ころに被告から担当窓口を総務部に一本化するように指示され、それに従ってきただけであるから、総務部が担当しているのは被告の内部事情にすぎない。また、被告においては、昭和五七年の商法改正の際に、被告の広告部が原告の出版物に被告の広告を掲載しても商法違反の問題は生じないと判断して、わずか二か月ほどの中断期間をおいて昭和五八年一月には広告部が広告部指定版下による広告掲載の依頼を再開したという事実がある。このように被告の海外事業部及び広告部担当の広告掲載をしてきたという過去の経緯も、被告の総務部の担当による広告掲載費が賛助金に当たるという被告の主張の根拠を失わせる事由になるというべきである。

(四) 被告は、原告が総会屋であり、反社会的勢力であって、原告に対する過去の支払は賛助金にすぎない旨主張する。しかしながら、原告は、昭和二一年に「X」を創刊し、日本と韓国の国交が正常化される以前の昭和三六年以来、韓国内で印刷と配布を許された韓国で唯一の日本語の新聞社としての実績を有しており、その実績のため、被告のみならず多数の日本企業から依頼されて広告を掲載してきた。原告は、現在、韓国経済及び在日韓国人に関する情報を専門的に報道しており、読者層は日本人及び在日韓国人にとどまらず、韓国その他の諸国に及んでいる。「X」、「タリ」及びその他のいずれの原告出版物も右のとおり一般読者や企業を読者層としており、その内容も頒布方法も反社会的勢力とは無縁のものばかりである。

なお、被告は、韓国の関係法規において、日本の出版物の輸入規制や日本企業の広告掲載規制は存在していないから、原告に広告依頼をせざるを得ない事情はないと主張するが、現時点における右規制は緩やかであるものの、かつては、外国の出版物の輸入は検閲で全面的に禁止されていたところ、原告の新聞はその例外であったから、右主張は理由がない。

原告は、事実に反したり他人を誹謗したりする記事を掲載するのを断念することの見返りとして第三者から賛助金に当たるような金品の交付を受けたことは何人の関係においてもなく、その要求をしたことすらない。また、原告が企業の株主になり、又は株主にならないことを匂わして利益の供与を受けたり、その請求をしたりしたこともない。そもそも、原告は、総会屋等と人脈的にも経済的にも関わりを持ったことはないし、総会屋のような行動をしたこともない。また、原告の前代表取締役であるBは、韓国の歴代大統領から韓国政府の民主平和統一諮問会議委員に委嘱されているが、これは、原告が在日の言論界の代表としての信用を築きあげてきたことの表れであり、被告のいうような賛助金集めの会社の代表であれば到底あり得ないことである。

Bは、株主に対する利益供与を禁止した昭和五七年の商法改正以前は、上場企業に対する取材活動の便宜のため、個人名義で株式を保有していたが、事情を知らない第三者に誤解を与えないようにする配慮から、そのころ持ち株をすべて手放し、同年以降は一切株式を保有していない。また、原告の元取締役Cは平成六年ころから被告の株式を一万株保有していたことがあるが、これは純然たる個人の資産運用にすぎず、他にも多くの会社の株式を同様の目的で保有していたことがあるところ、いずれの会社についても、株主の地位を表示して何らかの不当な言動をしたということはない。

(被告の主張)

(一) 本件契約の不成立又は効力不発生について

原告と被告との間において、原告主張の広告掲載等について何ら契約を締結したことはないから、本件契約は成立していない。本件契約の被告の担当者であった総務部渉外担当(以下「旧渉外」という。)の部長渡部猛(以下「渡部」という。)は、従前から原告と被告との間において広告掲載等の契約を締結するとの認識の下に原告との交渉に臨んだことはない上、本件契約の際の交渉においても、このような認識を一切持っていなかったし、右の交渉の際、広告の掲載内容や掲載時期について話し合ったこともない。

また、本件契約は被告の原告に対する即時履行された贈与にすぎず、本件書面は被告が原告に対し一年間で贈与可能な予算枠を定めた枠合意にすぎないので、本件契約が原告が主張する趣旨の契約としての法的拘束力を有するものではない。

(二) 本件書面について

原告と被告との間には本件書面が作成されているが、本件書面は、そもそもその表題自体が、正常な広告取引を示す「広告契約書」でも「広告掲載等承り予定書」でもなく、「広告予算申請書」となっているから、契約書や発注書でないことは明らかであるし、「下記の通り広告予算枠の申請書を提出致します」や「予算申請総額」との記載からすると、全くの部外者であるはずの原告が被告の純然たる内部問題である予算の申請をするという異常かつ意味不明な書面である。

また、本件書面の記載からは、掲載時期、掲載内容等が特定されておらず、「東洋会社年鑑」においては被告の広告が掲載されていないなど、その記載内容も極めて不明確であるから、本件書面を契約や発注の証とみることはできない。

(三) 本来の広告掲載契約との比較について

本来、企業が広告掲載を広告媒体に依頼する場合、その専門性等から広告を専門に取り扱う部署(被告では広告部)において担当し、かつ、広告代理店を経由して契約を締結するのに対し、本件契約では旧渉外が窓口となり、かつ、広告代理店を通さないいわゆる直取引がされていた。

また、本来、企業が広告掲載を広告媒体に依頼する場合、具体的掲載日時・掲載紙面・広告内容等について交渉をするが、本件契約は、前記のとおり、具体的なかかる広告の要素に関する交渉は一切されていない。

さらに、広告掲載料については、掲載紙面や活字のポイント数、掲載時期といった具体的な項目ごとに基準が設けられているのが通常であるが、本件契約では、これらの項目についての話が一切出ておらず、しかも、掲載されている広告が企業イメージ広告であること、原告の刊行物の発行部数が不透明であることなどから、広告価値に対する対価が考慮されていない。

(四) 被告が原告に交付した金員の性質について

本件契約では、原告の主張する広告掲載等契約は金銭を支払うための名目にすぎず、その実態は賛助金の支払であった。

すなわち、旧渉外の所管事項は、渉外に関する事項、株主総会に関する事項(法務部所管事項を除く。)、寄付金の調整及び管理、社外団体加入の調整及び管理等の業務であり、その重要な任務として、いわゆる総会屋等への対応があり、具体的には、実体が判然としない様々な団体や個人による協賛金、寄付金、広告掲載料、書籍・機関誌購読料等様々な名目による賛助金の交付要求があった場合に、同人らが株主総会において不規則な発言をしたり、事実に反する記事の新聞・雑誌等への掲載及び被告を誹謗中傷する街宣活動等被告に不利益となる言動をすることを未然に防ぐことを目的として、その与えられた予算の枠内において、かかる金員を交付するなどしていた。原告は、旧渉外から昭和三五年以降このような金員の交付を受けていた。旧渉外は、賛助金の支払状況を明確化するなどの目的で、原告を含めた団体等ごとに「賛助台帳」と題する書面を作成し、賛助金の額・交渉経緯等を記録していたが、右賛助台帳における記載事項は、「賛助」等といった用語の使用や「株主」欄の記載等およそ正常な取引における記録簿とは明らかに異質な内容となっている。また、被告が原告と面談して原告に対して交付する金額を決定した際には、その都度、右賛助台帳に原被告間での交渉の経過やそこで決定された金額等について逐一詳細に記載し、さらに、被告の担当者が次回以降原告と交渉をするに当たっては、右賛助台帳自体ではなく事前に右賛助台帳から数値等を書き写したメモを持参し、かつ、かかるメモがあることを原告に明らかにしないまま交渉に臨んでいた。

原告は、右金員が広告費であると主張するが、原告の発刊紙誌の発行部数等からは広告媒体としての価値を認めることは困難であり、さらに、原告へ交付する広告掲載料名目の金額を決定するに当たっては、原被告間において、広告を掲載した場合の効果とそのための広告料といういわゆる費用対効果の検証等が全く行われていない。また、被告の原告に対する交付金額の推移と被告が広告費等として計上していた経費の推移が明らかに相反していることからも、被告の交付金員を通常の広告掲載料あるいは書籍購読費ということはできない。

また、原告は、最近まで韓国国内においては、日本の新聞や出版物の輸入・搬入が禁止されていたなど、原告の発刊物には広告価値があると主張するが、関係法規からすれば、韓国国内において日本の出版物というのみで輸入が特に規制されている事実はなく、日本企業が地元紙に広告を掲載することについては全く規制を受けていない以上、仮に被告が韓国国内で広告することを希望するのであれば、韓国国内の日刊紙の新聞に掲載すれば足り、ことさら原告に広告を依頼せざるを得ない事情はない。

なお、被告が原告に交付した金員を広告宣伝費として経理処理していたのは、原告への交付金を処理するための税金対策として必要があったためである。

2  不法行為の成否について

(原告の主張)

被告は、平成一〇年一〇月一九日の本件第一回口頭弁論期日において、「反社会的勢力との訣別を図るため広告掲載及び請求拒絶の通知書を送付した」、「被告が、原告に対し右通知書を送付した」と記載した答弁書を陳述し、原告の社会的信用を著しく傷つけた。被告は日本を代表する企業の一つであり、その分だけ社会的言動には高度の注意義務があるところ、被告は、原告の属性が右のような反社会的勢力であると公然摘示したことにより、原告の社是ともいうべき反社会的勢力とは無縁な不偏の存在という主張を否定し、マスコミ出版社としての原告の社会的存在を日本及び韓国の原告出版物読者に対する関係において全面否定し、もって原告に対し侮蔑及び社会的信用毀損による被害を与えた。その被害金額は金銭に見積もると、少なくとも二〇〇万円を下らない。

(被告の主張)

答弁書には、原告を「反社会的勢力」であると公然摘示した記載はない。

第三当裁判所の判断

一  前提事実

1  原告について

原告は、新聞の発行等を目的として昭和三七年一月二九日に設立された株式会社であり、「X」(昭和二一年創刊。発行部数は公称二五万部)等の新聞や「韓国会社情報」(昭和五七年から年二回発行)等の書籍を発行している。同社の新聞や書籍の主な読者層は、在日韓国人及び在日韓国人と関係の深い韓国内の個人・法人等である。そして、原告の代表者をしていたBは、長年にわたって、韓国大統領から民主平和統一諮問会議委員に委嘱されている。(争いのない事実、甲一、二二の1ないし4、三〇、証人B、弁論の全趣旨)

2  旧渉外について

被告には、平成九年一一月ころまで、渉外に関する事項、株主総会に関する事項(法務部所管事項を除く。)、寄付金の調整及び管理、社外団体加入の調整及び管理等を所管事項とする旧渉外が存在していた。

もっとも、旧渉外は、様々な団体や個人が行う協賛金、寄付金、広告掲載料、書籍・機関誌購読料等を名目とする金員の交付要求の対応も実際には担当しており、これら交付要求を行う者が株主総会において不規則な発言をしたり、事実に反する記事を新聞・雑誌等に掲載したり、被告を誹謗中傷する街宣活動をしたりするのを未然に防止するため、一定の予算の枠内で金員を交付することによって右要求の解決を図るとともに、団体や個人ごとに賛助台帳という帳簿を作成して、交渉の経過や支出の状況等についての記録を残し、今後の交渉や後任担当者への引継ぎのための資料等に利用することとしていた。

そして、被告は、これらの要求に応じて支払われた金員を契約の対価としての支払ではない賛助金であると認識していた。(乙一〇の2、二〇、証人横井靖人)

3  本件書面作成に至る経緯について

(一) 昭和三五年八月、当時原告の副社長であったBは、原告の出版物等を持参して旧渉外を訪れ、被告と初めて接触を持った。(甲三〇、乙七の1、弁論の全趣旨)

(二) 右接触から昭和五七年九月ころまでの間、旧渉外が原告との交渉の経過や原告に対する支出の状況等について前記のような目的の下で記録した賛助台帳(乙七の1。以下「本件賛助台帳1」という。)には、次のような記載がある。(乙七の1、二〇、証人横井靖人、弁論の全趣旨)

なお、本件賛助台帳1の上部には「用件(イ)賛助(ロ)広告(ハ)購読(ニ)購入」との記載があり、本件賛助台帳1に(イ)との記載があるのは「賛助」を意味するものと理解することができる。

(1)  昭和三五年九月の欄には、原告が発行する新聞紙上に三段二分の一の広告を掲載する費用として、原告に対し三万円を支払った旨の記載がある。

(2)  その後、昭和三六年二月から七月にかけていずれも「賛助」目的で合計六万円が原告に対して支払われ、同年一一月一日の欄には、Bから三万円の支払要請を受けたが、予算が未定のためその支払が保留された旨の記載がある。

(3)  昭和三七年二月二二日、同年八月六日、昭和三八年二月一二日、同年五月二〇日、昭和三九年三月一一日、同年五月二一日、同年一〇月二六日、昭和四〇年二月三日の欄には、いずれも「賛助」目的で金銭が支払われた旨の記載がある。

なお、昭和三七年八月六日の欄には、「本年度は終り」との記載がある。

(4)  昭和三七年四月二一日の欄には、Bが自ら、本件賛助台帳1に「本年度予算として残2万円である事を承りました」と記載し、これを前提として三万円が支払われた旨の記載がある。

(5)  昭和三八年一月九日の欄には、「今后は減額したい。年間6万位」との記載が、同年四月一日の欄には、「2万円貰ってくる様にとの朴の話であった」との記載が、同月五日の欄には、「水銀灯に関する資料を銀座で拾って届けて来た。この謝礼をも兼ねて、2万円(4月の1万+礼1万)但し次回は1万円」との記載が、同年七月一八日の欄には、「(本年終わりか)」との記載が、同年一〇月一八日の欄には、「(イ) 取り止め(本年終わり)10000申込」との記載が抹消されており、これを受けてその下の同月二八日の欄には、「上記1万円では朴氏不満につき2万円にして欲しい。来年1月払い来年分。本年中は一切応じない約束。 20000申込」との記載がある。

(6)  昭和三九年六月一七日の欄には、「依頼5万 ネバル 年内なし朴氏確約 結局4万とするが、内訳は(今回2万、年末分2万計4万とする) 連合広告(H、M、F OKすみ)」との記載が、同年一〇月二六日の欄には、「増額要求3万円 (イ)止むを得ず」との記載がある。

(7)  昭和四〇年四月一日の欄には、「9月までなしという約束」との記載が、同年六月一七日の欄には、「つなぎに1つ出してくれ。」「あれこれやりとりするも、止むなく。」「9月までなし」との記載が、同年七月の欄には、「日韓会議成立特別広告 年内なし」との記載が、同年九月二九日の欄には、来社した杉本三郎(以下「杉本」という。)に対して、「賛助広告依頼に来店。然し前回特別広告の際、年内なしを約束している旨伝え、断る。」との記載が、同年一一月一六日の欄には、杉本に対して、「新年号(1月10日号)に東芝企業広告を出したいとしてねばる。3段1/2、30、000、予約する(41年度分)」との記載がある。

(8)  昭和四一年三月二二日の欄には、「20周年記念特集 全5段 150千円、5段1/2 75千円断るもねばる」「今后減額年間10万」との記載が、同年六月二二日の欄には、「大いにネバルも年末(約1万)に出すと断る」との記載が、同年九月二八日の欄には、「(5段1/2 7万5千円)…5万ならOKとする。朴氏よりTEL。5万で出す。但し年内に2万程の広告頼む」との記載がある。

(9)  昭和四二年一月三一日の欄には、「広告予約に来社。大いにネバル」との記載が、同年四月二二日の欄には、「ガスタービン四基 輸出第一号記念 全5段 但し支払40、000×2回」との記載がある。

(10) 昭和四三年六月一一日の欄には、「東洋会社年鑑を発刊する。広告検討願い度い」との記載があり、同年七月一九日の欄には、「東洋会社年鑑本文中とじ2頁 但し2回払 日立飾頁1頁15万決定」との記載が、同年一一月四日の欄には、「本年度終り」との記載がある。

(11) 昭和四七年二月七日の欄には、「東洋会社年鑑飾頁1頁」、「80、000」との記載が、同年一〇月一七日の欄には、「朴大統領来日記念(来日中止の為年賀広告に変更) 8万(4万4万)分割五段1/2 本年最后」との記載がある。

(12) 昭和四八年一二月一一日、同月一四日の欄には、「新年度広告として再三来社 広告依頼× 年が改まってから来い」との記載がある。

(13) 昭和五六年三月二七日の欄には、「56年度年間(4~3月)200万とする(35周年も含む)但し年鑑3/末払いのを含む 4月払い 55年度は207出している 56年度は217出る(17は3/末済)」との記載がある。

(14) 同年一〇月二日の欄には、「電子産業特集をやるが、三菱日電他OK 二段1/2づつやってもらったが、1社あいている。特別の枠で今回出さしてほしい。年間の金額と別に10万円OK」との記載があり、そこから矢印が引っ張られ、同年一〇月の欄には、「10/14号 特別」との記載がある。

(15) 昭和五七年三月三〇日の欄には、「年間予算きまらず とりあえず四月号として20万円OK Mは年間470万で7月までに終わらせる 各社上期で一年分対応してくれている。東芝はきまらず、上期も今まで通り」との記載が、同年四月三〇日の欄には、「上期は4月200スミ。5月250、20周年記念250、6月250、7月250、計1200とする 下期は現在不明」との記載が、同年七月一日の欄には、「韓国上場会社年鑑(春季号)出版した。H、Mは10冊、特別に賛助してほしい。 5冊(@5000 10)OK」との記載が、同年八月三一日の欄には、「9/24発行の件でくるもだめ。 H、Mは相当出してくれたと云う 9/10の通常の広告を特別1回出す」との記載がある。

(三) 昭和五七年一〇月一日には商法改正に基づく利益供与禁止規定が施行されることとなっていたため、旧渉外は、これに先立って、原告との折衝を打ち切るという方針を立て、同月から昭和六〇年までの間の原告との間の折衝をしなかった。(乙二〇、証人横井靖人)

(四) 昭和六〇年一二月、Bは、旧渉外を訪れ、他社の広告が掲載されたXを見せて原告との交渉の再開を要求したので、旧渉外は交渉を再開した。旧渉外では、これに対応して賛助台帳(乙七の2。以下「本件賛助台帳2」という。)を作成し、本件賛助台帳2に原告との交渉の経過や原告に対する支出の状況等について記載するようになった。そして、本件賛助台帳2の昭和六一年一一月の欄には、「新聞(突出し)韓国上場会社年鑑購入出来ないため、広告で対応」との記載がある。

また、昭和六三年ころからは、原告において「広告予算申請書」と題する文書を作成し、翌年度に準備すべき予算枠として、原告が希望する額の確保を要請する趣旨で被告にこれを送付していた。(甲三〇、乙七の2、乙二〇、証人B、同渡部猛、同横井靖人)

(五) その後、旧渉外が関与して原告に支払われた金銭は、平成元年が合計三四七万一〇〇〇円、平成二年が合計三九五万七〇〇〇円、平成三年が合計三九五万円、平成四年が合計三九六万五〇〇〇円、平成五年が合計四六七万九〇〇〇円、平成六年が合計四三二万二二〇〇円、平成七年が合計五六五万七〇〇〇円、平成八年が合計六五六万五〇〇〇円であった。(乙八)

(六) ところで、被告の広告部は、昭和四四年ころから、広告代理店である株式会社電通等を経由して原告との間で広告掲載契約を締結し、Xに被告の広告を掲載していた。その一例が、Xの昭和五八年一月七日号への広告掲載であるが、そのときの契約内容は、被告製品のビデオデッキの商品広告(全五段)を半期で六回、年間で一二回、一回につき一九万円で掲載するというものであった。

これに対し、旧渉外で取り扱ったものの一例であるXの昭和五七年六月一一日号に掲載された広告をみると、五段組、二分の一のスペースの社名のみのイメージ広告であり、その広告掲載料は二五万円であった。(甲三〇、乙七の1、二〇)

4  広告予算申請書の作成について

(一) 原告は、平成九年三月七日付けで広告予算申請書(乙二一の1)を作成して、被告に交付した。右書面は、「広告予算申請書」と題するもので、その頭書には「下記の通り広告予算枠の申請書を提出致しますので、ご多忙中恐れ入りますが、委細ご検討のうえ好意的な配慮を賜わりますようお願い申し上げます。」と記載されていた。その上で、原告が希望する契約内容として、<1>平常号に、五段組、二分の一のスペースで、広告料五〇万円、掲載回数一二回、<2>同年五月及び八月発刊予定の「大韓民国建国五〇周年」及び「韓日エレクトロニクス産業」の各特集号にいずれも五段組、二分の一のスペースで広告料各五〇万円、<3>同年七月発刊予定の「三星グループ」特集号に全五段のスペースで広告料一〇〇万円、<4>同年六月、九月、一二月にそれぞれ発刊予定の「タリ」紙に、五段組、二分の一のスペースで広告料一回につき三五万円、<5>平成一〇年二月発刊予定の平成一〇年度版東洋会社年鑑に、一頁スペース本文掲載につき二〇万円、<6>韓国会社情報上下各一冊一万四四〇〇円、<7>「’97縮刷刷」一冊一万五〇〇〇円との記載がされていた。(甲二、三〇、証人B)

(二) Bは、平成九年四月に入り、渡部に対し、予算は決まったかどうかなどという電話をかけたところ、渡部は、前年に比べ一五〇万円以上高額であり、要求金額では応じることができない旨返答した。そこで、Bが平成九年度の予算枠について交渉したいなどと申し出たところ、渡部は同月一五日の面接を約束したので、右同日、Bは旧渉外を訪れて、渡部との間で交渉(以下「本件交渉」という。)をした。その場の交渉は、Bが同業他社の金員支払状況等の話を持ち出し、他方、渡部が、前年どおりの予算枠にしてほしいなどと応じるものであった。

そして、右交渉の結果、渡部が原告持参の右広告予算申請書の控え(甲二)の平常号の欄に「450、000×12回」と、大韓民国建国五〇周年特集の欄に「450、000×1回」と、タリの欄に「325、000×4回」と、東洋会社年鑑の欄に「25」万円とそれぞれ記載し、自らの署名をして右書面を原告に交付し、その内容が確定した。

なお、渡部は、昭和四七年一〇月から旧渉外に配属となり、昭和五五年一〇月から昭和五六年九月までの一年間他に配属換えとなった以外は一貫して旧渉外に在籍しており、昭和六〇年一二月ころから原告との交渉を担当するようになり、平成九年当時には旧渉外の部長の地位にあった。渡部は、前任者からの引継ぎや賛助台帳等を通じて、原告に対しては、広告料や書籍等購入代金の名目で賛助金を支払っているものと考えていたし、本件交渉の際にもそのような認識を有していた。そこで、渡部は、本件賛助台帳2から転記した平成八年実績メモを準備し、それを本件交渉の際、机の下で見ながら、本件契約における総額を平成八年度の支払額以下に抑えようとした。しかし、結果的には、支払額は九五万円増えることとなった。(争いのない事実、甲二、三〇、乙一九、二一の2、証人B、証人渡部猛、弁論の全趣旨)

5  原告と被告との交渉の特徴について

(一) 被告には、いわゆる広告媒体との間での広告掲載契約締結を所管する部署として広告部が設置されており、広告部が広告媒体との間で広告掲載契約を締結する場合には、必ず広告代理店を間に入れている。

そして、前記のとおり、このような形態で原告との間の広告掲載契約が締結されたこともあったが、広告代理店を通さずに旧渉外が原告との間で直取引することも昭和三五年の接触当初から行われており、昭和六二年以降はもっぱら旧渉外が原告との折衝を担当していた。(乙七の1、一〇の1、二〇、証人横井靖人、弁論の全趣旨)

(二) 原告が旧渉外との間の交渉に基づいて掲載する広告は、特定の商品についての商品広告ではなく、全て一般的なイメージ広告であり、その内容も数年間にわたって同一のものが繰り返し掲載されている。そして、右イメージ広告は全て、五段組、二分の一のスペースのものである。(甲三ないし一〇、証人B、弁論の全趣旨)

(三) また、企業が広告掲載を広告媒体に依頼する場合には、具体的掲載日時・掲載紙面・広告内容等の広告掲載条件について詳細な交渉をするのが通常であると考えられるが、本件を含め、原告と旧渉外との間で行われた交渉の際には、右広告掲載条件に関する具体的な話合いは一切行われていない。さらに、広告掲載料についてみても、広告媒体が掲載紙面や活字のポイント数、掲載時期といった具体的な項目ごとに細かな基準を設けており、広告掲載を依頼する企業と広告媒体との間で条件を詰めておくのが通例であると考えられるが、原告と旧渉外との間では、これらの項目についての話合いが具体的に行われた様子は全くなく、前記のとおり、本件においても概括的に金額が定められているにすぎない。(甲二、乙一九、証人B、証人渡部猛)

(四) ところで、平成元年から平成八年までの八年間に、旧渉外が関与して原告に支払われた金員の額は前記のとおりであるが、この間の被告全体の広告費は四割程度削減されているにもかかわらず、原告に対する支払額は約八割強も増加している。

また、発行部数は、広告媒体としての価値を決定する重要な要素であり、広告料金の決定においても重要な考慮要素となると考えられるところ、原告の発行部数とほぼ同数の地方一般紙である神奈川新聞(発行部数二三万七五二九部)の五段組、二分の一のスペースの広告料金は一七万五〇〇〇円、下野新聞(発行部数三〇万一七二三部)の五段組、二分の一のスペースの広告料金は二五万円であるのに対し、原告(公称発行部数二五万部)の五段組、二分の一のスペースの広告料金は五〇万七五〇〇円である。

なお、原告が被告以外の企業に対して交付した平成一一年二月一七日付けの「広告予算申請書」には、広告のスペースとして「5段 1/2」、広告料として「¥250、000」とそれぞれ記載されている。(甲一九の3、乙八、九、弁論の全趣旨)

6  原告と被告以外の他企業との関係について

原告は、被告以外の企業とも広告掲載等について交渉を行ってきていたが、被告以外に三菱グループが今後広告掲載等の交渉を取り止めると申し出てきた。(甲一九の1ないし3、証人B、弁論の全趣旨)

二  争点1について

前提事実によれば、被告は、様々な団体や個人から、協賛金、寄付金、広告掲載料、書籍・機関誌購読料等の名目で金員の交付要求を受けることがあり、これらの要求を行う者が被告にとって不利益な言動をするのを防止するため、一定の予算の枠内で右要求に応じてきたが、その応対は旧渉外が担当し、団体や個人ごとに賛助台帳という帳簿を作成して、交渉の経過や支出の状況等についての記録を残しており、原告と交渉するに際しても、昭和三五年八月以来、本件賛助台帳1、同2を作成し、前記のような内容の記載をしているところ、昭和六〇年一二月ころから原告との交渉を担当するようになり、平成九年当時には旧渉外の部長の地位にあった渡部は、一貫して、原告に対する金員の支払が広告料や書籍等購入代金の名目による賛助金の支払であるとの認識を有していたことが認められ、これに前記の原告に対する広告掲載料が他のほぼ同等の発行部数を持つ一般紙と比べて格段に高額である上、被告の広告部が依頼した場合と旧渉外が関与した場合とを比較してみても、後者の広告掲載料の方がより高額であること、平成元年から平成八年にかけて被告の広告費全体の支出額が著しい減少傾向を示している中で、原告に対する支払額が顕著な増加傾向を示していることを加味すれば、本件書面(甲二)に、原告に交付すべきものとして記載された金員も、契約の対価としての意味を持たない賛助金であって、被告には、本件契約において、原告に対して真実広告掲載を発注したり、原告発行の書籍を購入したりする意思はなかったと認めるのが相当である。

そして、本件契約の際に作成された書面(甲二)は「広告予算申請書」との表題が付けられており、通常の契約書とは体裁を異にしていること、被告には広告掲載契約を扱う専門部署としての広告部が存在しており、広告部が広告掲載契約を締結する場合には広告代理店を間に立てて契約する形態をとるのが通例であって、実際、そのような形態で原告との間の広告掲載契約が締結されたこともあったが、本件契約はこれとは別個の形態、すなわち旧渉外が原告と直接交渉するという形態をとっていること、原告と旧渉外との間では、広告内容、広告掲載日時等の広告掲載条件についての具体的な交渉、及び掲載紙面、活字のポイント数、掲載時期といった具体的な項目ごとに設けられた細かな基準に則した広告掲載料に関する交渉が一切行われておらず、それらは概括的に定められているだけで、広告掲載に必要な諸条件についての具体的な合意が存在していないこと、旧渉外との交渉に基づいて原告が掲載している被告の広告は、イメージ広告であり、広告スペースも五段組、二分の一のスペースとそれほど大きなスペースではないし、その内容も数年間にわたって同一のものが用いられているなど広告効果が必ずしも高いとはいえないとも考えられること、原告が五〇年余りの長きにわたって日本国内で新聞等を発行し、広告掲載契約の慣習や実情についても熟知していると考えられること、B自身賛助台帳の存在につき認識し得たと思われることなどにかんがみ、原告としても被告が本件契約を真実締結する意思がないことを容易に知り得たと認めるのが相当である。

そうすると、本件契約は広告掲載契約と出版物販売契約とが不可分一体の契約であるから、仮に、本件書面(甲二)の授受によって、本件契約が成立したとしても、民法九三条ただし書により、無効であるといわざるを得ない。

もっとも、被告は本件契約代金の一部を支払った(争いのない事実)が、それは既に説示したとおり賛助金としての支払であり、贈与と評価し得るから、右支払の一事でもって直ちに右判断が左右されるものではない。

したがって、その余について判断するまでもなく、原告の広告等の代金請求は理由がない。

三  争点2について

原告は、被告が答弁書において原告を指して「反社会的勢力」であると公然摘示し、原告の社会的信用を毀損したと主張する。

そもそも、弁論主義を基調とする我が国の民事訴訟においては、当事者が、その信ずるところを自由に主張し、立証することが重要であって、それが訴訟上の真実の追求に役立つものと考えられる。そうすると、仮に、一方当事者の主張が相手方の社会的信用を毀損するようなものであり、その後の審理において右主張が真実であると認定できなかったとしても、直ちにこれをもって違法と評価することは相当でないというべきであって、訴訟上の主張が違法となるのは、その当事者において故意に、かつもっぱら相手方を誹謗、中傷する目的の下に著しく適切さを欠く言辞を用いて主張を行ったと認め得るような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である。

これを本件についてみるに、原告は、平成一〇年九月一六日、被告に対して広告代金等の支払を求めて、当庁に本訴を提起し、被告は、同年一〇月一六日、答弁書を提出し、同月一九日の第一回口頭弁論期日において、右答弁書記載のとおり陳述した。右答弁書には「被告が、反社会的勢力との訣別を図るため広告掲載及び請求拒絶の通知書を送付した」、「被告は、このような現状を真摯に反省するとともに、改めて反社会的勢力との訣別を宣言した。その一環として、」総務部渉外担当(以下「旧総務」という。)「を廃止し、旧総務が窓口となってきた取引についても、<1>基本契約が存在しないもの、<2>発注書など個別契約関係を証する書面が存在しないもの、及び<3>右基本契約や発注書などが存在するとしても明らかに対価性を欠く等公序良俗に反するものについては正常な商取引とは認めないとの基本方針の下、これらに該当するものについては、すでに請求を受けているものについても一切支払わないとする通知書を送付している。」、「被告が、原告に対し右通知書を送付したのは、原告との取引については右<1>及び<2>の要件に該当し、正常な商取引は存在しないと判断したためであった。」との記載がある。(当裁判所に顕著な事実)

しかしながら、本件全証拠によっても、少なくとも、被告において、もっぱら原告を誹謗、中傷する目的があったことを認めることはできないから、被告の答弁書の記載が原告に対する侮蔑及び社会的信用の毀損として違法であるということはできないというべきである。

したがって、その余について判断するまでもなく、不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。

四  そうすると、原告の請求はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 都築弘 裁判官 土田昭彦 裁判官 福渡裕貴)

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